一つの部位で4つの味わい!プロが教える和牛の美味しい部位と食べ方

一つの部位で4つの味わい!プロが教える和牛の美味しい部位と食べ方

世界で認知度が高まる日本の「WAGYU」。

 

今回は、そんな渦中におられる和牛界の風雲児、

 

  • 「WAGYUMAFIA」の料理長を務める永山俊志さん

 

  • 株式会社Meattech CEOの中山智博さん

 

のお二人にお話を伺った。

 

 

  • 部位ごとのおすすめの食べ方
  • 脂の融点と味覚の関係性
  • 調味料とペアリングについて

などなど、興味深い話から知っているだけで、もっとお肉を美味しく食べられる内容について、プロに熱く語っていただいきました。

 

 

 

和牛の美味しい部位とは

――:永山さんは「WAGYUMAFIA」の料理長を務めておられます。早速ですが、永山さんのお好きな和牛の部位について教えて頂けますでしょうか?

 

 

永山さん:個人的には、腰からお尻にかけての「ランプ」と「イチボ」、内またの下部にあたる「シンタマ」が好きです。ランプは赤身が美味しく、イチボは霜降りのサシが特徴的です。

 

シンタマには、シンシン、まるかわ、かめのこ、トモカンカク、という4つの部位が集合しており、味が全て違います。イメージとしては、ラグビーボールを少し大きくした形をしていて、内部は薄い筋で4つに隔てられている感じですね。初めて食べる方や、食べ比べしたい方にもおすすめです。

 

――:ランプ、イチボ、シンタマの一押しの調理法はありますか?

 

永山さん:もともと焼き肉屋で働いていた時期が長かったので、炭火でサッと焼いて食べるのが美味しさの原点だと思ってます。イチボは薄めに、ランプは少し厚めに切って、中はレアにして食べるのが一番好きですね。料理の立場からすると、シンタマは4ヵ所の味わいが全く異なるので、バリエーション豊富で非常に使い勝手が良いです。

 

 

――:中山さんは現在、株式会社MeattechのCEOとして、畜産業界にITテクノロジーやバイオテクノロジーを利用することにより、牛肉の適正な流通(ディストリビューションの再構築)と新たな価値基準の生成を目指しておられます。中山さん一押しの、和牛の美味しい部位についてお聞かせいただけますでしょうか。

 

中山さん:私の一押しは、ランプとイチボ、特上カルビなどに使われる「三角バラ」の3つです。

 

ランプやイチボは、肉の味が分かりやすく非常に個性的な部分です。イチボは体表の脂をそがないで、少し脂を残したうえで、ステーキにして食べるのが好きです。

 

 

中山さん:もも側にサシが抜けてても抜けてなくても、個人的にはどちらも美味しいと思っています。三角バラは融点が低い部位なので、脂の質が分かりやすくなっています。体表の脂や中の霜降りが顕著に表れる部位ですね。

 

 

 

融点の違いで分かる脂の質とは

――:中山さん一押しの三角バラは、融点が低い部分とお伺いしました。融点の違いとは、具体的にどのような形でお肉に表れているのでしょうか?

 

 

中山さん:そもそも融点とは、肉の脂が溶け始める温度のことです。一般的な牛肉の融点は約45度。融点が低いと脂がさらっと解けるのですが、融点が高いともったりとした感じになります。たとえば、すき焼きを食べて胃がもたれてしまうことってありますよね。脂の質にもよりますが、融点が高いことが原因なんです。

 

――:なかやま牧場さんの牛肉の融点はどれくらいでしょうか?

 

 

中山さん:私の牧場では、あまり霜降りやサシを入れないタイプの牛肉を育てるために、融点を20度前後に調整しています。サシを入れないからこそ、融点を下げてもしっかりとしたお肉の旨味と、さらっとした脂を引き立てることができています。一般的な融点と比べても、温度は半分以下となっており、非常に低い値が特徴的です。

 

――:ちなみに、百貨店やスーパーで、お二人におすすめいただいた一押しの牛肉の部位を買う事はできますか?

 

中山さん:百貨店やスーパーではあまり見かけないです。脂と赤身がしっかり乗った、イチボやシンタマを購入できるお店は、非常に珍しいと思います。

 

永山さん:そうですね。専門店でオーダーを入れれば買えますが、一般的には難しいですね。

 

――:ということは、中山さんにご相談するのが一番良さそうですね!

 

 

 

和牛の美味しさを引き立てる調味料

――:美味しさの原点は炭火で焼いて食べることとお伺いしました。和牛の付け合わせの調味料のおすすめはありますでしょうか。

 

 

永山さん:和牛は、調理の仕方によって味が大きく左右されると思っています。たとえば、すき焼きやビーフシチューなど、和牛を使ったさまざまな調理法がありますよね。ビーフシチューはルーの味、すき焼きは醤油や味醂、しゃぶしゃぶは最後に付けるタレの味で風味が変化します。

 

そういう意味では、炭火で焼いて「塩」と「胡椒」で食べるというのが、和牛の美味しさが最もダイレクトに伝わる食べ方だと思います。

 

WAGYUMAFIAさんで過去に提供された一品。

 

 

――:和牛の部位と調味料を組み合わせるポイントはありますか?

 

永山さん:あまりサシが入っていない部位であれば、醤油が合いますね。醤油はダシ醤油ではない醤油がおすすめです。

 

中山さん:わさびを付けると味がぼやける肉と、キリッとしたわさびの風味が合う肉があるので、肉によって相性が違います。ワサビだけでなく、塩も同じ。アルカリ性の強い岩塩を合わせるかどうかなど考えますね。

 

肉の旨味をどう引き出すか、というところを気にしながら合わせるのがポイントです。

 

 

 

和牛におすすめするペアリング

――:和牛に合うお酒について教えていただけますでしょうか。

 

 

永山さん:近年、牛肉には赤ワインという固定観念が崩れてきたように感じます。日本酒の蔵元さんの中では世代交代が行われ、若い方たちがどんどん増えています。新しい世代の方が造るお酒は、とてもフルーティーでスッキリとしているので、和牛との相性がとても良いです。ワインに限らず、日本酒のように色々な飲み物が和牛に合わせられる時代になってきました。

 

――:牛肉に合う日本酒が増えているとは、驚きです。おすすめの日本酒を教えていただけますか?

 

永山さん:おすすめの日本酒は、京都の松本酒造さんが造られている「守破離(しゅはり)」です。フルーティーでしっかりとした味は、料理に合わせやすい万能タイプだと思います。

 

――:中山さん一押しの日本酒はいかがでしょうか?

 

中山さん:私は、高知の「酔鯨(すいげい)」がおすすめです。きりっとした飲み口が、とても肉に合います。

 

 

 

和牛と日本酒のペアリングのノウハウ

――:WAGYUMAFIAさんには海外からのお客様も多いと伺っています。永山さんがペアリング時に工夫されていることはありますか?

 

 

永山さん:お店のメニューにはペアリングコースはご用意していないのですが、お客様の好みのお酒を伺ったうえで、料理と合うものをおすすめしています。

 

特に最近では、海外のお客様が増えてきており、日本でしか飲めない日本酒を注文される方が多いように感じます。日本酒のラインナップを気にしたり、精米などの細かな情報よりも、ドライかフルーティーかなどのヒアリングを重視してお出しするように気を遣っています。

 

ワインはどこでも飲めますが、日本酒は海外へ行けば非常に高級なアルコールですので。

 

――:牧場を経営されている中山さんの観点から、ペアリングについてはどうお考えになりますか?

 

 

中山さん:一般論でいう「松坂牛に合うお酒」と言っても、「どの松坂牛?」といった考えになってしまうんです。たとえば、ワインやコーヒーが農場によって味が違うように、和牛も農家さんによって味が全く違うからです。

 

肉の部位、血統、和牛か乳用種なのかといった観点で、ペアリングする方法が正しいのかなと思っています。最近では、googoofooを通して和牛に合うお酒を研究中です。

 

――:中山さん、永山さん貴重なお話をありがとうございました!