【満木葉子の日本茶完全攻略法vol.12】日本茶の風味の変遷~第三の煎茶登場?!~

【満木葉子の日本茶完全攻略法vol.12】日本茶の風味の変遷~第三の煎茶登場?!~

突然ですが、「お茶」とか「緑茶」っていうとき、煎茶のことを指していますよね?

 

ちなみにうちの母はどのお茶を淹れるかたずねてくれる際、「ふつうのお茶?それともほうじ茶がいい?紅茶もあるし、なんならコーヒーでも」と言います。笑

 

日本で「緑茶」というと煎茶以外の玉露とか抹茶を含みますが、お茶=煎茶、というくらいに日本を代表する飲み物ですね。

 

そんな煎茶の種類や風味の違いについて認識のある人はどれくらいいるでしょう。

 

 

煎茶にも種類があるって知ってる?

 

中国から日本に煎茶が伝わったとされるのは1654年。

 

伝わったのは中国でこの時代に流行していた釜炒り茶でした。

 

江戸時代後期に蒸して作る製法が開発され、明治時代に蒸し器や粗揉機が開発されて機械化が進み、蒸し製のお茶が日本ではスタンダードになりました。

 

蒸し時間で普通蒸しと深蒸しの2種類に分類します。

 

浅蒸しや、特深蒸しなんていうのもありますが、まあ大きく分けるとこの2つで、「普通蒸し茶=第一の煎茶」、「深蒸し茶=第二の煎茶」です。

 

 

第二の煎茶もはじめは非難された

 

第二の煎茶、深蒸し茶は今から50年ほど前に静岡で開発されました。

 

普通蒸しよりも蒸し時間を2倍くらい長くすることで渋みが抑えられ甘くまろやかなお茶になります。

 

余談ですが、牧之原市・菊川市・掛川市・島田市が深蒸し茶発祥の地の名乗りを上げています。

 

近年では深蒸し茶の人気が高く、スーパーなんかに並んでいるのを見ても、深蒸し茶とパッケージに書いてあるか、書いてないけれど深蒸し茶の商品ということがよくあります。

 

戦後に「フリースタイル茶」と呼ばれた新しいお茶づくりの挑戦のうち、水質の悪い東京でも美味しくかつ短時間で淹れられるお茶ということで深蒸し茶が広まって残りました。

 

しかしつくられた当初は地元でもこんなお茶・・・と非難の声があったそうです。

 

それが、今では定番に。

 

時流をよんだ商品であったということ、なにより技術を開発した人、製造した人、販路を開拓した人、みなさんの努力の賜物ですね。

 

 

煎茶の風味の方向性

 

ものすごくざっくりですがそれぞれの特徴をいうと、普通蒸し茶は透き通った山吹色で香りが高く爽やかな渋味があって、深蒸し茶は緑色をして香りだちはおだやかで甘くまろやかです。

 

(こんな説明じゃ分からない!という人は今すぐお茶を買いにGO!!!)

 

透き通っている深緑色をした、普通蒸しのお茶

こちらが普通蒸しのお茶。

 

 

濁りのある深緑をした、深蒸しのお茶

こちらが深蒸しのお茶。

 

 

正直まったく別の飲み物だと思うのですが、この違いをはっきり認識している人は多くは無いように思います。

 

共通しているのは、旨味が豊富なものが高品質とされているところでしょうか。

 

しかしながら、高品質とされているものがすなわち好まれるというわけではありませんし、vol.10に書いたような嗜好の変化もあり、煎茶の方向性も変わりそうな気配です。

 

これまで旨味重視だったのが、食のグローバル化が進む中で、海外で好まれるような香りが高くてスッキリしたお茶がトレンドになりそうな。

 

そこにジャストミートするのがvol.10でご紹介した萎凋香緑茶なのですが、量産が難しいという課題があります。

 

その課題をクリアーする技術を開発して登場したのが「第三の煎茶」です!

 

果たして「第三の煎茶」とは?

 

 

第三の煎茶登場?!

 

静岡県の茶業研究センターが民間企業といっしょになって2014年から開発した技術でできたのが、第三の煎茶「香り緑茶」です。

 

透明度の高い色をした香り緑茶の様子

 

萎凋香緑茶の技術開発は他県でも取り組んでいますが、静岡のは通常の煎茶の製造工程にはいる前に香りが発揚するための加温・撹拌・低温静置の処理工程をはさむ方式です。

 

このあたりにご興味のある方はこちらのサイト(静岡県公式サイト)をご覧になってください。

http://www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-820/seika/seika.htm

 

 

もとのお茶の栽培方法や品種、蒸し時間など煎茶製造工程によって色合いも風味も異なるので一言ではくくれませんが、煎茶の色、風味を保ちつつ、花のような香り、果実のような香りを引き出しています。

 

先日開催した日本茶アンバサダーサミットで香り緑茶のワークショップを実施しました。

 

ワークショップの会場が満員となっている様子

 

成茶加納の「森のおくりもの」、勝間田開拓茶農協の「花ここち」、JA大井川の「宗平」の前二つを熱湯で、宗平を水出しで試してもらいました。

 

お茶によって、また人によって感じ方にバラつきがありましたが、ほとんどの人が香りを感じるという評価でした。

 

 

香り緑茶の最大の利点は熱々のお湯で美味しくはいるところとわたしはみています。

 

お湯の温度管理の煩雑さを理由に日本茶の導入をしていなかった飲食店での提供につながりそうです。

 

一般の人が何気なく飲んでも花様の香りを捉えやすいような方向性での商品開発や認定のガイドラインを作るなどすることで発展につながるのではと個人的には考えています。

 

深蒸し茶以来のスマッシュヒットとなるか?!

 

第三の煎茶の今後にどうぞご注目!