外食

外食店舗展開のイマー黒毛和牛焼肉屋のオーナー社長を取材

外食店舗展開のイマー黒毛和牛焼肉屋のオーナー社長を取材

2020年7月21日にリニューアルOPENした当店。ビストロ形態が大きく焼肉屋さんにシフトした。「肉 BisTro WAIGAYA」から「和牛ホルモンWAIGAYA」へ。

国内外で独立支援を含めて15店舗を経営されるスタースリー株式会社の坂口文彦社長に現在の外食状況をヒアリングした。約23名ほどの社員を抱える外食経営者のリアルを探った。

語りては国内外に多店舗展開する経営者、坂口社長

 

坂口 文彦さん
1976年3月6生まれ 広島県出身。100年以上続くホテルの4代目として生まれ、大学を卒業後、ミシュラン獲得の日本料理「喜多丘」で修行をスタート。4年後、森本正治氏の1号店(米・フィラデル フィア)本店で勤務。オープニングからすべてのセクション、最終的には当店のExecutive sous-chefに就任。日本に帰国後、グローバル ダイニングの「権八」とディナーレストラン「Stella」のコンセプトシェフ(総料理長)に就任。グローバルダイニングを退社後、起業。現在イタリアン・ビストロ・アジア・和食業態など16店舗を経営する。2019年には焼肉を始めるルーツとなった韓国にも出店 しており、国内外の飲食店プロデュースを手掛けている。

 

何故か行きたくなる“焼肉”というジャンル

 

「鮨や焼肉って、何かホッとした時に行きたくなりませんか?」

と坂口社長。確かに、ストレスが溜まって心から空間や時間に癒されたい時、気の知れた友人とカジュアルに楽しみたい店で、焼肉は皆様の候補想定ランキングで上位に上り詰めるだろう。

そんな焼肉というジャンルを、リーズナブルな価格で提供したい。美味しい肉をお腹いっぱい食べてもらいたい。こうした想いが、国産の黒毛和牛に結びついた。

黒毛和牛をリーズナブルに食せる店として

 

写真は、ロース、カルビ、ランイチの3種類。テイクアウトの黒毛和牛3点セットは、ランイチがランプに変わって届けられる。和牛にしっかりと下味がついており、食欲をそそる。香りは韓国コチュジャンが真っ先に入って、爽やかに抜けていく。

タンすら【国産】へのこだわり

 

当店では輸入ものは使わずにハラミもタンすら国産である。
仙台の名物の牛タンだが、仙台で流通している牛タンの8割はUS産で食べる気が失せる。かつての築地市場の場内で北欧産サーモンを鮨ネタとして食べているくらい失望感がある。ここ新宿に、国産の牛タンを食べる店があったとは。
この日は青森県の黒毛和牛。芝浦にある原田畜産から直接仕入れることができるのも10年来の付き合いがあるからである。

日本×韓国のいいとこどりの秘伝タレ

 

元々、韓国でも店をOPENするオーナーが、韓国の焼肉屋にインスパイアされたものをアレンジした。タレの味は、くどくなく、自家製のラー油とも相性が良い。

「韓国に2店舗飲食店を開業するにあたって2ヶ月ほど韓国に滞在した。毎食外食する中で韓国と言えば焼肉なので色々な韓国の焼肉を食べ歩き、 明らかに日本の焼 肉と何かが違うと感じた』と話してくれた。

どちらが美味しいと比較するわけではなく、魅力が異なるということ。2つを融合することで、新しい焼肉の世界を創ろうとしていた。

その折に世界的なコロナウイルス感染症の発生で、営業停止を余儀なくされた。

店舗+αで「幻想を抱かない経営」が大切か

 

「前みたいには戻らないと思う」とつぶやいた坂口社長が印象的だった。
もはや、過去の来客の盛り上げりを期待すらしていない。
むしろ、現実を受け止めて前しか見ていない様子だった。

コロナウイルス感染症の影響で3月頃から、対応に追われていた。
コロナウイルス感染症の影響で低迷した売上低下は著しいが、時間短縮にも対応した。
4月に入るあたりで続くキャンセルラッシュ。
4/1〜7/21まで全店を閉めて待機することを決意したという。新宿というエリア特徴を考慮して、自粛期間中は大きい団体客の需要が見込みづらいと判断したからだ。

「実店舗だけの経営が不透明だからこそ、4月後半から通販をスタートさせたようと思った」

覚悟を決めた坂口社長は、現実を受け止めて、焼肉セットのテイクアウトを始めた。
そして店舗のリニューアルオープンから逆算をして商品化をした。

 

おうちごはんにコスパ良し・味よしの黒毛和牛

「お店を休業せざる得なくなり、その時その思いを形にしようと考えすぐさま新大久保に行き韓国の調味料を数十種類購入して試作を繰り返しました。その結果一晩漬け込む事でお肉は柔らかくなり、味付けは韓国の味付けほど甘くはなく、かと言って日本の醤 油が強いタレでもない秘 伝の漬け込みのタレと焼肉のタレが 完成しました 。」と坂口社長は語る。

坂口社長のお人柄もあって、Facebookの知人・友人が告知をしたところ瞬く間に拡散される。出身地の広島、喜多岡の同級生や経営者仲間など、口コミで広まってお肉は大反響に。リーズナブルな黒毛和牛が、お家で食べられる喜びは、年代や性別、県境も越えたようだ。

「感謝でいっぱい」と語る坂口社長。
本当に困った時に何人の人が助けてくれるかが、その人の人徳だと常々思う限りである。

家ではフライパンで簡単に焼けておいしく仕上がる。私の場合は、下味だけのタレで十分お肉の美味しさを感じることができたが、もちろん前述の秘伝タレも一緒に配送されるので、余ったら別のお肉に使ってもよいかもしれない。

「接客がない新しい売上」が発見になった

「スケジュール感も大きく変わるはず」と語る、坂口社長。外食のルーティンは12月に一気に稼いで1〜2月閑散期となり、また春の歓送迎のニーズで客足が増えて行くのが定番だ。しかし、この流れが大きく変わる気がすると、坂口社長は舵を切る。

「以前は挑戦しなくとも良かったことを、しなければいけない」。

SNSの活用や、デジタルマーケティング戦略など、課題がこの出来事で浮き彫りになったと話していた。今後、㈱ ガイアプロモーションも、外食店へのデジタルコンテンツの発信などでサポートをする可能性もあるのだろう。外食店の展開は、経営者の手腕にかかってきそうだ。

編集後記

 

取材をした後日、和牛をスーパーで買ってみた。黒毛和牛を知るため、焼肉について考えるためである。当たり前の日常にある焼肉の役割とは、おうちごはんでは、一体どんなシーンで、どんなインサイトがあるのか、改めて焼きながら考えてみようと思った。

 

結論、答えはここでは語れないくらい深くて、バリエーションに富む。

 

ただ1つ言えることは、牛肉の最高等級を示す「A5」という言葉。ざっくり言えばサシが細かく均等に入っていて、可食部の多い(歩溜がよい)肉という印であるが、同じ肉質等級(5〜1)でも、可食部の差でA〜Cランクに分かれるため、A5とB5の肉の味的な違いは、さほどないと考えることもできる。料理によってはA5よりA3のほうが美味しいという場合もある。

 

「A5ランク」=100%美味しいとは言い切れない。また、奮発をして限度を決めてA5ランクの黒毛和牛を食べるか、手頃に、毎日のように美味しい黒毛和牛を食べるか、もっぱら価値観に委ねられるところだろう。

 

黒毛和牛への向き合い方は、サシのようにバランスが大事なのかもしれない。

 

(著・井上嘉文/ライター)

 

【取材店舗】

和牛ホルモンWAIGAYA 新宿本店
東京都新宿区新宿3丁目13−5 クリハシビル B2F
03-6380-0301