一人暮らしを始めると、「節約のために自炊しよう!」と思う人が多いですが、実際にやってみると「意外とお金がかかる」「時間も手間もかかって大変」と感じることも少なくありません。
例えば、食材を買ったのに使い切れずに腐らせてしまったり、調味料や調理器具を揃えるのに初期費用がかかったりと、想定外の出費が増えることもあります。さらに、調理や片付けに時間を取られることで、「外食やコンビニご飯のほうが楽でコスパがいいのでは?」と疑問に思うことも。
本当に自炊は一人暮らしにとってコスパが悪いのでしょうか?それとも、工夫次第でお得にできるのでしょうか?今回は、一人暮らしの自炊のコスパについて、徹底的に深掘りして考えてみましょう。
自炊のコストを構成する要素
自炊には以下のようなコストが発生します。
- 食材費:一度に購入する量が多くなりがちで、使い切れずに余らせることも。
- 光熱費:ガスや電気を使うため、調理回数が増えると費用もかさむ。
- 調理器具・調味料代:最初に揃える必要があり、特に調味料は意外と高い。
- 時間的コスト:食材を買いに行く時間、調理時間、片付け時間も含まれる。
これらを合計すると、単純に「1食あたりのコスト=食材費÷回数」では測れないことが分かります。
外食・中食と比較した場合のコスパ
では、実際に外食や中食と比較した場合、どちらのほうがコスパが良いのでしょうか?
項目 | 自炊 | 外食 | 中食(コンビニ・スーパー) |
---|---|---|---|
1食あたりの金額 | 300〜600円 | 700〜1,500円 | 500〜1,000円 |
栄養バランス | 調整しやすい | 偏りがち | 偏りやすい |
時間コスト | かかる | かからない | ほぼかからない |
満足度 | 好みにできる | お店次第 | 種類が限られる |
自炊のメリットは1食あたりのコストを抑えられることですが、手間や初期費用も考慮すると、必ずしも安いとは言えません。一方、外食や中食は高くつくものの、時間を節約できる点が大きなメリットです。
一人暮らしの自炊で、コスパが悪くなる原因
1. 食材を使い切れない
一人分の食材をちょうどよく使い切るのは難しく、余った食材を廃棄することが増えがちです。特に野菜や果物は、少量パックで販売されているものが限られており、買いすぎると腐らせてしまうこともあります。冷凍保存や計画的な献立を考えないと、コストが余計にかかる原因になります。
2. 調味料や調理器具の初期投資が高い
自炊を始めると、基本的な調味料(醤油、みりん、油、塩、砂糖など)を揃えるだけでも意外とお金がかかります。また、フライパン、鍋、包丁、まな板などの調理器具も必要になり、初期費用がかさみます。これらを揃えた上で、頻繁に使わないとコスト回収が難しく、外食や中食の方が安く感じてしまうこともあります。
3. 光熱費がかさむ
自炊をすることで、ガス代や電気代が増えるのも見落としがちなポイントです。特に、長時間煮込む料理やオーブンを使う料理は光熱費がかかりやすくなります。ガスコンロを使用する機会が増えれば、それだけガス代も上がるため、節約のつもりで作った料理が結果的に高コストになることもあります。
4. 時間的コストがかかる
自炊は食材の買い出し、調理、後片付けといった工程が必要で、時間がかかります。忙しい人にとっては、これらの時間を確保することが難しく、「外食や中食のほうがコスパが良い」と感じる要因になります。特に、帰宅後に料理を作る気力がなくなり、結果的に食材を無駄にしてしまうケースも多いです。
自炊のコスパを上げる工夫
では、自炊のコスパをできるだけ高めるにはどうすればいいのでしょうか?
1. まとめ買い&冷凍保存を活用する
一人暮らしでは食材を使い切れずに無駄にしてしまうことが多いですが、冷凍保存を活用すれば食材の廃棄を減らし、コストを抑えられます。
肉や魚は小分けにして冷凍
肉や魚は一度に購入すると量が多くなりがちですが、小分けにしてラップで包み、ジップ付きの袋に入れて冷凍すれば、必要な分だけ使えるため無駄が減ります。特に、鶏むね肉や豚こま肉などは小分けして冷凍し、使うときに解凍すれば便利です。
野菜はカットして冷凍
野菜も冷凍保存することで長持ちさせられます。例えば、ネギは小口切りにして冷凍しておけば、味噌汁や炒め物にすぐ使えます。ピーマンやにんじんは千切りにして冷凍すると、炒め物やスープに便利です。ジャガイモは冷凍すると食感が悪くなるので注意が必要です。
炊いたご飯も冷凍してコストダウン
自炊の基本とも言えるご飯は、炊いたあと1食分ずつラップに包んで冷凍しておくと、食べたいときにレンジで温めるだけで済みます。パックご飯を買うよりもコストが大幅に抑えられ、炊飯の手間も減るのでおすすめです。
2. 作り置きを活用する
毎回の調理時間を減らすため、作り置きを活用するのもおすすめです。
カレーや煮物は大量に作って冷凍
カレーや煮物は味がしみ込みやすく、保存が効くため、作り置きには最適です。特に、カレーは一度に大量に作って冷凍すれば、レンジで温めるだけで簡単に食べられます。煮物も同様に、鶏肉や根菜類を使った筑前煮や肉じゃがなどは冷凍保存可能で、忙しい日の食事として活躍します。
野菜の下ごしらえで時短調理
野菜を事前にカットし、下ごしらえをしておくことで、調理時間を短縮できます。例えば、にんじんや玉ねぎをスライスして冷凍しておけば、炒め物やスープにすぐに使えます。ブロッコリーやほうれん草は茹でてから冷凍すると、使いたいときにサッと解凍するだけで食べられるので便利です。
汁物の作り置きで栄養バランスを確保
味噌汁やスープを多めに作り、冷蔵または冷凍保存しておけば、毎日の食事に手軽に取り入れられます。特に、野菜や豆腐を入れた味噌汁を作り置きしておくと、簡単に栄養バランスの取れた食事ができます。また、ミネストローネやコンソメスープなども冷凍保存でき、食事のバリエーションを増やすのに役立ちます。
3. 安くて使い勝手のいい食材を選ぶ
コスパの良い食材を活用すれば、安くても満足度の高い食事が作れます。
米:主食としてコスパ最強
米は一度にまとめて炊いて冷凍保存すれば、長期間保存でき、毎日の食事に活用しやすくなります。また、パックご飯を買うよりも圧倒的に安く済むため、食費の節約に大きく貢献します。おにぎりやチャーハン、丼ものなど、さまざまな料理にアレンジできるのも魅力です。
もやし・キャベツ:安くて量が多い
もやしは一袋30〜50円程度で買えるため、コスパ最強の野菜の一つです。炒め物やラーメンの具材、ナムルなど、さまざまな料理に使えるのがメリット。ただし、傷みやすいため、買ったらすぐに使うか、冷凍保存しておくとよいでしょう。
キャベツも一玉買えば何食分にも使え、千切りにしてサラダにするほか、炒め物やスープの具材、漬物にも活用できます。比較的保存が効くため、一人暮らしでも使いやすい野菜です。
鶏むね肉・豚こま肉:安価で使いやすい
鶏むね肉は鶏肉の中でも特に安価で、100gあたり50〜100円程度で購入できます。ヘルシーでタンパク質が豊富なため、筋トレや健康を意識している人にもおすすめ。焼いたり茹でたりするだけでなく、蒸してサラダチキン風にするなど、幅広い調理法が可能です。
豚こま肉も安価で、炒め物や煮物、カレーなどに活用しやすい食材です。小分けにして冷凍しておけば、必要な分だけ取り出して使えるので、一人暮らしでも無駄なく消費できます。
卵:栄養価が高く、万能に使える
卵は1パック(10個入り)で200〜300円程度とリーズナブルでありながら、栄養価が高く、さまざまな料理に使える万能食材です。朝食のスクランブルエッグやオムレツ、目玉焼きはもちろん、炒飯や親子丼、茶碗蒸しなど、幅広いレシピに対応可能です。日持ちもするため、一人暮らしには特に便利な食材と言えます。
結論:一人暮らしの自炊は工夫次第でコスパが良くなる
一人暮らしの自炊は、工夫次第でコスパを向上させることができます。確かに、食材の無駄や光熱費、時間的コストなどの問題があるため、何も考えずに始めると「意外とお金がかかる」と感じることも少なくありません。しかし、冷凍保存や作り置き、コスパの良い食材の活用などを取り入れることで、外食や中食よりも安く、健康的な食生活を送ることが可能になります。
また、自炊の最大のメリットは、コストだけでなく、自分の好みや栄養バランスを自由に調整できる点にあります。忙しい日と時間に余裕のある日でメリハリをつけながら、自炊を上手に取り入れることで、経済的にも健康的にも充実した生活を実現できるでしょう。自炊が「コスパが悪い」と感じるかどうかは、自分の生活スタイルに合った工夫をどれだけ取り入れられるかにかかっています。